医療の質評価指標
平成29年度杉並リハビリテーション病院診療実績
(平成29年4月1日~平成30年3月31日に退院した患者431名の分析)
1.疾患

1 .昨年度退院患者は431名。脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、頭部外傷等)が多く227名(53%)、整形疾患(大腿骨骨折、膝関節術後、脊椎骨折等)185名(43%)が続く。
2.年齢・性別

2 .年齢・性別では、80代女性が圧倒的に多く、2位の70代女性の2倍以上、続いて80代男性、70代男性、60代男性は僅差である。
3.居住地

3 .居住地は、杉並区が5割を占める。2位以下は大きく開き練馬区、武蔵野市、と当院へのアクセス便利な地域が占めている。
4.発症から初回入院までの期間

4 .発症から3週、4週での入院が多く全体の4割強を占めている。身体を動かさないことにより生じる廃用症候群が大きく進行する前の早期に入院し、集中的なリハビリを開始するという回復期リハビリの目的と合致している。
5.在院日数

5 .在院日数は、3ヶ月がピークとなっている。疾患別平均在院日数を出してみたところ、脳血管疾患97.6日、整形疾患70.0日、廃用症候群69.1日と90日前後であった。
*回復期リハビリテーション病棟には、対象疾患毎に入院期間の上限が定められている。
<上限日数>
- 脳血管疾患 150日(高次脳機能障害180日)
- 整形疾患 90日
- 廃用症候群 90日
- (当院では期限を超えた入院は原則行っていない。)
自宅退院を目指す方には、入院から7日以内に療法士が自宅を訪問し環境確認を行なう入院時訪問を実施している。昨年度退院患者431名中164名に対し入院時訪問を実施、その内135名が自宅退院した。
6.家屋調査実施~自宅退院日数

6 .患者本人の状態改善に伴い、本人と共に自宅訪問を行う家屋調査については、224名に対し実施、その内204名が自宅退院している。
家屋調査は、概ね退院1ヵ月前を目標に実施しているが、退院患者の家屋調査時期を調べたところ退院3週間前が最も多く、続いて4週間前だった。6週間前、5週間前も続いており、これは早めの家屋調査を行い、環境設定や外泊訓練等に時間をかけて退院準備をする必要があった方と思われる。
家屋調査を行ない自宅退院に至らなかった20名は、施設入所や転院などだった。実際に自宅へ行き自宅生活が難しいと本人が納得して決める場合もある。
7.退院前カンファレンス実施~退院までの日数

7 .退院前カンファレンスは退院1~2週前の開催が多い。早過ぎると本人の状態にまだ変動があり必要なサービスが定まらず、退院直前ではサービス調整が間に合わないため、この時期に集中している。205件の退院前カンファレンスのうち、自宅退院は193名、残りの12名は施設への退院だった。
8.退院先

9.転院理由

8 .全退院患者431名の内自宅への退院は約7割(290名)である。回復期リハ病棟の在宅復帰率には治療目的での転院は含まれず、退院先が自宅・特別養護老人ホーム・介護付有料老人ホーム等を在宅とする。よって在宅復帰率は88%となり約9割である。
10.リハビリテーション実績指数

10 .リハビリテーション実績指数は27以上が施設基準とされ、単月で1度下回ったが6ヶ月平均では徐々に指数が上昇した。今年度は37以上と施設基準が変更されている。
*リハビリテーション実績指数とは?
入院時から退院時までの改善度合を在院日数との関係から指数化したもの。短い期間で改善が大きいほど数値が大きくなる。
11.転倒・転落発生率

11 .当院が回復期となったH20年から6‰台と高かった転倒・転落率発生率は、H24年5月に問題解決のため多職種協働による「転倒・転落予防チーム」の結成によって2~3‰に下がった。それまでは看護師だけで対応していたことが、理学療法士らが加わることで専門職の視点からさまざまな対策立案が可能となり、低い発生率を維持し現在に至っている。(※上尾中央医科グループH29年度回復期リハ病棟を有する16病院の平均は3.66‰)
転倒・転落発生率‰
期間中に発生した転倒・転落の件数
期間中の入院患者の延べ人数
×1000(‰)